ご挨拶
革新と調和: 血管外科医療の未来を拓く
第122回日本血管外科学会九州地方会
会長 田山 栄基
久留米大学外科学講座 心臓血管外科 主任教授
「人は血管とともに老いる」という言葉が示すように、血管の健康は健やかで充実した人生を送るための必須の条件です。
現在、血管疾患治療の分野では飛躍的な技術進歩が見られます。高性能な画像診断技術、大動脈内ステント、カバードステントの登場により、検査から治療までを最小限の侵襲で完遂できるようになってきました。また、脳、心臓、腎臓といった重要臓器と血管疾患の密接な関係を踏まえ、治療法の工夫も進歩しています。例えば、脳塞栓を回避するための治療手法、低心機能・肺機能患者に適した低侵襲血管治療、腎負荷軽減の造影剤代替技術など、各施設での独自の取り組みが多く存在していることでしょう。さらに、血管外科と他科の協力によって初めて実現可能な治療も数多あると存じます。
本学会では、九州中の施設が持つ経験と創意工夫を一堂に集め、情報を共有することで、より良い未来の医療への道筋を描いていきたいと考えております。また、本学会は若手医師の学会発表の登竜門としての役割も担っております。未来の血管外科医を育てるため、ぜひ若手医師の挑戦を温かく見守り、ご指導いただければ幸いです。
猛暑の時期とは思いますが、九州の地理的中央に位置する久留米の地で、熱意あふれる議論を交わしていただけることを心より願っております。
結びに、先生方の益々のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。